もらえないメンタルクリニックで診断書を書いてくれない!5つの理由【心療内科】

勇気を振り絞って心療内科に行ったのに、お医者さんに「診断書は書けません」と断られてしまった…。
「もう休めないの?」「私の症状は気のせいなの?」と、絶望的な気持ちになっていませんか?
まず、結論からお伝えします。
- 医師が診断書をすぐに書いてくれないのは、あなたの人格や辛さを否定しているわけでは決してありません。
- 多くの場合、①初診で判断材料が足りない、②休職が最善の治療ではないと考えている、といった医学的・倫理的な理由があります。
- まず、あなたの辛い状況を「具体的」な言葉にして医師に伝え直すことが、状況を打開する第一歩です。
- それでも話が進まないなら、セカンドオピニオン(他の病院を受診)は、あなたの正当な権利。全くためらう必要はありません。
- あなたは一人ではありません。休職への道は、必ず開けます。
この記事では、なぜ医師が診断書を書いてくれないのか、その考えられる理由から、あなたが次に取るべき具体的な行動、そして体験談まで、あなたの不安が少しでも軽くなるように順を追って解説していきます。
なぜ?医師が診断書をすぐに書いてくれない5つの理由

医師に診断書を断られると、「自分が甘えているだけなのかな…」と自分を責めてしまいがちです。でも、そうではありません。医師が診断書の発行に慎重になるのには、主に以下のような理由が考えられます。
理由①:初診であり、判断材料が不足している
これは最も多いケースです。あなたが何ヶ月も苦しんできた症状でも、医師にとっては10分程度の診察で初めて知る情報です。その限られた時間で、あなたの生活背景や仕事の状況、症状の経過の全てを正確に把握するのは非常に困難です。
ここで安易に診断書を書いてしまうのは、医師としてむしろ無責任な行為。「もう少しあなたのことを知ってから、正確な判断をしたい」という誠実さの表れでもあるのです。
理由②:医学的な診断基準を、まだ満たしていない
うつ病や適応障害といった診断名は、医師の感覚で付けられるものではなく、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)などの世界的な診断基準に基づいて判断されます。そこには「症状が〇週間以上続いている」といった期間の基準も含まれます。
あなたの症状が辛いことは事実でも、診断名を付けて診断書に記載するには、客観的な基準をまだクリアしていない、と医師が判断している可能性があります。
理由③:休職があなたにとって「最善の治療ではない」と考えている
これは、医師の治療方針によるものです。医師によっては、「仕事から完全に離れると、かえって社会的孤立や自己肯定感の低下を招き、回復が遅れるケースがある」と考える人もいます。
そのため、診断書を書いて休職させるよりも、まずは会社に職場環境の調整(業務量の軽減や部署異動など)を申し出る方が、あなたのためになる、と判断しているのかもしれません。
理由④:あなたの伝え方では「休職の必要性」が伝わりきっていない
あなたの辛さは本物でも、その深刻さが医師に十分に伝わっていない可能性もあります。
例えば「仕事が辛くて、やる気が出ません」という抽象的な訴えだけでは、医師は判断に迷います。しかし、「朝、布団から出られず、会社に間に合わない日が週に3日あります」「通勤電車の中で理由もなく涙が出てきて、途中下車してしまいます」といった具体的なエピソードがあれば、医師は「これは業務に支障が出ているな」と明確に判断できます。
理由⑤:診断書の発行自体に、慎重な方針の医師・クリニックである
残念ながら、診断書を不正に利用しようとする人がいるのも事実です。そのため、医師やクリニックの方針として、「複数回通院して、信頼関係ができてからでないと診断書は書かない」と決めているケースもあります。
【今すぐできる】診断書を書いてもらうために、次にあなたがすべきこと

理由がわかったところで、「じゃあ、どうすればいいの?」と思いますよね。診断書を書いてもらうことはゴールではありませんが、休職するためには不可欠なステップです。次にあなたが取るべき具体的なアクションプランを3つのステップで紹介します。
STEP1:あなたの「辛さ」を具体的に言語化・可視化する
診察室では緊張してうまく話せないものです。事前に自分の状態をメモにまとめて持っていくのが、最も効果的です。
医師に伝えるべき「具体例」リスト
以下の項目について、箇条書きでメモに書き出してみましょう。
- いつから?:症状が気になり始めた具体的な時期(例:〇月のプロジェクトが始まってから)
- どんな症状が?:
【体の症状】眠れない、朝起きられない、食欲がない/ありすぎる、頭痛、腹痛、めまい、動悸、常に疲れている
【心の症状】涙もろくなった、何も楽しめない、イライラする、不安で落ち着かない、人の視線が怖い、死にたいと考えてしまう - 仕事への影響は?:
遅刻や欠勤が増えた、簡単なミスを連発する、電話のコールが怖い、会議の内容が頭に入らない、メールの返信ができない - 日常生活への影響は?:
お風呂に入るのが億劫、部屋の片付けができない、趣味だったゲームや読書ができない、友人からの連絡を無視してしまう
このメモを見せながら話すだけで、あなたの辛さの解像度が格段に上がり、医師に伝わりやすくなります。
STEP2:医師に「休職したい」という明確な意思を伝える
日本人は「察してほしい」と思いがちですが、診察の場では逆効果です。「どうしたらいいでしょうか?」と判断を委ねるのではなく、あなたの希望をハッキリと伝えましょう。
【意思を伝える例文】
「先生にお伝えしたような症状のせいで、これ以上、今の職場で働き続けるのは心身ともに限界だと感じています。つきましては、一度仕事を休んで治療に専念したいと考えています。休職の手続きに必要なため、診断書を書いていただくことは可能でしょうか。」
STEP3:諦めずに次回の診察を予約し、経過を伝える
初診で断られたとしても、そこで諦める必要はありません。「わかりました。では、先生の指示通り、まずはこのお薬で様子を見てみます。また来週、予約をお願いします」と伝え、継続して通院する意思を見せましょう。
そして次回の診察で、「薬を飲んでも、やはり朝起きることができませんでした」といった具体的な経過を報告することで、医師は「薬物療法だけでは不十分で、休養が必要だ」と判断しやすくなります。
それでも書いてもらえないなら…「セカンドオピニオン」という正当な権利

上記のステップを踏んでも、どうしても医師との方針が合わない、話を聞いてもらえないと感じる場合。我慢して同じクリニックに通い続ける必要は全くありません。
あなたに合う主治医を見つけるのも、大切な治療の一環
内科や外科の病気と同じで、医師にも専門分野や治療方針の得意・不得意があります。そして、何よりも人間同士の「相性」が存在します。あなたが「この先生には本音を話せる」と信頼できる主治医を見つけることは、治療を進める上で非常に重要です。
病院を変えることに、罪悪感を抱く必要は一切ありません。それは、あなた自身が治療に前向きな証拠です。
転院する際の注意点と新しい病院での伝え方
- 紹介状は必須ではない
紹介状(診療情報提供書)があれば、これまでの治療経過が伝わりスムーズですが、無くても全く問題ありません。前の病院に行きづらい場合は、紹介状なしで新しい病院を受診しましょう。 - 正直に話しすぎない
新しい病院で、「前の病院では診断書を書いてもらえなくて…」と話すのは、あまり得策ではありません。医師によっては「クレーマー気質の患者さんかな?」と警戒してしまう可能性があるからです。「少しでも症状を改善させたくて、他の先生のご意見も伺いたいと思いました」と、前向きな理由を伝えるのがおすすめです。 - 口コミは参考程度に
Googleマップの口コミなどは病院選びの参考になりますが、あくまで他人の感想です。最終的には、あなた自身が実際に診察を受けてみて「この先生なら信頼できる」と感じるかどうかを大切にしてください。
【体験談】診断書が出なかったけど、こうやって乗り越えました

金融機関・営業 / 20代男性
「初診で年配の先生に『まだ若いんだから、気の持ちようだ』と諭されてしまい、絶望的な気持ちで帰りました。でも、悔しくて、その日から1週間の体調や気分の波、仕事でのミスなどをスマホのメモに克明に記録しました。次の診察でそれを見せたら、先生の態度が変わり、『これは辛いな。わかった、診断書を書こう』と言ってくれました。客観的な記録を見せることが、何よりの説得材料になると痛感しました。」
介護職 / 30代女性
「医師から『休職より、まずは夜勤のない部署への異動を会社に相談してみては』と正論を言われました。でも、うちの施設は人手不足で、そんな交渉ができる状態じゃない…。話が噛み合わないと感じ、思い切って、家の近くの別のクリニックに予約を入れました。次の病院の若い先生は、私の話を親身に聞いてくれ、初診で『限界までよく頑張りましたね。すぐに休む手続きを取りましょう』と言ってくれて。本当に涙が出ました。病院を変える勇気って、すごく大事だと思います。」
飲食店・接客業 / 20代女性
「不眠と吐き気で受診し、診断書をお願いしたら『病名は”適応障害”ではなく”抑うつ状態”になりますがいいですか?』と確認されました。正直、病名は何でも良くて、とにかく休みたかったので『はい、それでお願いします』と即答。後で調べたら、休職の診断書では”適応障害”や”抑うつ状態”という病名がよく使われることを知りました。必ずしも”うつ病”という診断名でなくても、休職はできるんだとわかり、少し気持ちが楽になりました。」
「診断書がもらえない=あなたの甘え」では断じてない

最後に、これだけは強くお伝えしたいです。
医師に診断書を断られたことで、「やっぱり自分の気のせいだったんだ」「休みたいなんて、ただの甘えだったんだ」なんて、絶対に思わないでください。
あなたの辛さは、あなた自身が一番よくわかっている、誰にも否定できない「本物」です。
医師に診断書を書いてもらえなかったのは、あなたと医師との間で、情報や治療方針に対する認識に、少しズレがあっただけのこと。あなたのせいでは、決してありません。
そして、もし休職のスタートラインに立つことすら難しいと感じるなら、それはあなたが今いる「環境」そのものが、あなたに合っていないという、重要なサインなのかもしれません。
今すぐ転職する、しないは別として、リクルートエージェントのようなサービスに登録して、「世の中には、もっと自分を活かせる場所があるのかもしれない」と知るだけでも、今の苦しみは相対的に小さく見えてくるはずです。視野を広げることが、心の安定剤になることもありますよ。
まとめ

- ✅ 医師が診断書を書いてくれないのは、医学的な理由や慎重な方針があるから。あなたを否定しているわけではない。
- ✅ まずは、症状や仕事・生活への影響を具体的にメモして、医師に伝え直そう。
- ✅ 「休職したい」という明確な意思を、自分の言葉で伝えることが重要。
- ✅ それでもダメなら、セカンドオピニオン(転院)は全く悪いことではない。自分に合う主治医を探そう。
- ✅ あなたの辛さは本物です。自分を責めず、休職への道を諦めないで。
診断書がもらえず、目の前が真っ暗になってしまったあなたの気持ちは、痛いほどわかります。でも、この記事で紹介したように、打つ手はまだたくさんあります。どうか、一人で抱え込まず、あなた自身を助けるための行動を、一つずつ試してみてください。応援しています。